アルミロードの可能性(食わず嫌いはもったいない)

「アルミフレーム=エントリーモデル」。いつの間にか、そんなイメージがロードバイク界に根付いてしまいました。
でも、少し前まではどうだったでしょう。我々がレースの現場でガンガン走っていた頃、アルミフレームは間違いなく戦うための最新機材でした。
そして、コンポーネントに関しても、「105=初心者向け」というイメージには違和感を覚えます。現行の105機械式変速は、かつてのデュラエースよりも性能が優れています。
ちなみに、大手メーカーの現行アルミロードは、105機械式変速で価格はおおよそ25万円前後。それでも性能的には、かつてのハイエンドフレーム+デュラ仕様と遜色ない走りが可能です。また、私がヨーロッパでプロとして走っていた当時のモデルは、上記写真のアルミフレーム+アルテグラ仕様のバイクで、完成車価格は確か20万円を切っていたと記憶しています。
アルミフレームがエントリー扱いになった背景
ここ10年ほど、多くのメーカーはアルミロードを入門モデルや多目的用途向けにラインナップするようになりました。
その結果、どうしても
・ジオメトリがコンフォート寄り
・ハンドル位置が低くできない設計が多い
・快適性重視のパーツ構成
といった傾向が強くなっています。
アルミロードの魅力
アルミフレームには、今も変わらない走りの楽しさと、扱いやすさがあります。
・コストパフォーマンスの高さ:カーボンの半額以下でも十分な走行性能を発揮します。
・気楽に扱えるタフさ:日常利用や輪行などでも神経質にならなくて済みます。
・アルミフレームらしいフィーリング:踏み込んだ瞬間にグッと前に出る、あの感覚がたまらない、そう口にするベテランサイクリストは少なくありません(最新カーボンも進みますが…)。
アルミロードの弱点
やはり最大のデメリットは重量です。カーボンと比べれば、登りでのタイムには多少の差が出るでしょう。ただ、ヒルクライムレースで1分短縮に人生を懸けているのでなければ、その重量差を大きく感じることはあまりないはずです。それよりも、その差を補って余りあるコストパフォーマンスや扱いやすさがありますし、使用用途によってはカーボン以上の走行性能を発揮する可能性さえあります。
ハイエンドアルミの復権を
今の市場では、レース向けジオメトリを採用したアルミモデルは少数派という印象です。とはいえ、性能・コスト・扱いやすさを総合的に見れば、アルミはまだまだ現役で戦えるカテゴリーです。むしろ、最新のテクノロジーをふんだんに盛り込んだレーシーな軽量アルミフレーム(価格は控えめ)に、105機械式変速をアッセンブルし、さらにコスパに優れたカーボンホイールと30Cタイヤを組み合わせた1台を作ってみたくなります。そうすれば、我々世代が乗っていたハイエンドロードの完成車と大差ない価格で、しかも非常に高性能なバイクに仕上がるはずです。
カーボンが主流になってからロードバイクを始めた方にとっては、これらはむしろ新鮮な価値観に映るかもしれません。ですが、食わず嫌いはもったいないもの。ひとつの選択肢として、アルミロードのポテンシャルを信じてみるのもアリだと思います。