砂浜を駆け抜ける新感覚レース「BEACH CROSS 99」参加レポート

全国各地で自転車イベントが開催される10月。先週末は、日本列島でも有数の砂浜を誇る千葉県東部・刑部岬から太東崎にかけて広がる九十九里海岸で開催された「BEACH CROSS 99」に参加してまいりました。
砂浜を舞台に行う自転車競技、その名も「ビーチレース」。MTB XCでもなく、シクロクロスでもなく、グラベルでもない、新しいフィールドを舞台にしたレースです(今回のUCIレースはカテゴリー上ではMTBとして開催)。
「ビーチレース」は、2000年ごろからオランダやベルギーなど、ヨーロッパ北部を中心に人気を集めはじめました。冬の寒い季節でも走れる広大な海岸線を舞台に、10km以上の砂浜サーキットを駆け抜ける迫力のレースとして定着しています。いまではヨーロッパだけでなく、アメリカやイギリスなど世界各地でも開催されるようになっています。

そしてそのビーチレースが、ついに日本にも上陸しました。国土の多くを海に囲まれ、豊かな砂浜を持つ日本にとっては、まさに可能性を秘めた新しい競技といえるでしょう。
波打ち際の締まった砂の上では、ロードレースのように集団走行で先頭交代を繰り広げる駆け引きが展開され、柔らかい砂地や砂利道では、MTBやシクロクロスのような高いバイクコントロール技術が求められます。まさに「MTB × CX × グラベル」の要素を詰め込んだハイブリッドレースです。
使用する自転車の制限も緩いため、“異種格闘技戦”のような面白さもあります。私はCXバイクで挑んだため、締まった砂や舗装路では加速できるものの、柔らかい砂ではテクニック不足も相まって失速するということを繰り返し、一般男子フル全体で22位というリザルトとなりました。

また、ビーチレースの魅力はその“間口の広さ”にもあります。トップレーサーが勝負を挑む舞台である一方、初心者でも自分のペースで完走を目指すことができます。タイムや順位にこだわらず、砂の上を走りきったときの達成感は、他のどんなレースにもない特別な体験になるはずです。
観戦もまた、この競技の醍醐味のひとつです。数百人のライダーが一斉に砂浜をスタートする瞬間は圧巻で、しかも周回レース形式のため、観客は何度も選手たちの熱い走りを間近で応援することができます。
そんなビーチレースの日本版が「BEACH CROSS 99」。今回の大会をきっかけに、日本でもビーチレース文化が広がっていくかもしれません。新たな自転車カルチャーの波が、ここ九十九里から始まりそうな予感がしました。