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栗村修のワールドツアーへの道

KURIMURA's Blog

UCI新リーグ構想

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2023年最初の更新となります。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

さて、早速ですが、年末に「2026年からUCI(世界自転車競技連合)が新たなロードレースリーグを創設か」というニュースが流れてきました。

これまで長きにわたり、自転車ロードレースのビジネスモデルは非常に脆弱だ、と各方面から指摘され続けてきたわけですが、「UCIロードチャンピオンズリーグ」と呼ばれるこの構想が、流れを大きく変えるゲームチェンジャーになれるかに個人的にも注目しています。

なぜなら、日本国内で自転車ロードレースのリーグやレースの発展を考えた場合、世界にそのまま真似できるビジネスモデルというものが存在しておらず、このスポーツをビジネスとして成り立たせていくための方法論が非常に不明瞭だったからです。

例えば、サッカーやバスケットボールなどのメジャースポーツに於いては、各国に「プロリーグ」という明確なビジネスモデルが存在しており、日本国内に同じものをコピーさえすれば、すぐにスポーツビジネスをスタートさせることが可能となっています。もちろんそれ自体決して簡単なことではないですが、ビジネスとして目指すべき明確な形がすでに存在していることは、非常に大きな強みであるといえます。

一方、自転車ロードレースの世界については、ツール・ド・フランスという、真似をしたくても真似ができない唯一無二の存在がこのスポーツの大き過ぎる象徴となっており、競技名を「自転車ロードレース」から「ツール・ド・フランス」に変えた方が良いと思えるほど、ツール・ド・フランスが持つ知名度や経済的価値は圧倒的なシェアを誇っています。

ということで、自転車ロードレース界の構造改革に繋がるかもしれない「UCIロードチャンピオンズリーグ構想」について、現在伝わっている内容を以下まとめてみました。

◯新構想は2026年から開始?

◯現行のUCIワールドツアーの後継リーグ?

◯対象レース数を減らす?(ワンデーレース=15/ステージレース=4〜6)

◯新興地域でのレース開催?

◯レース日程の重複を避ける?

◯テレビ放映権などを管理する新会社設立?

◯レースの安全性を更に向上させる?

◯ツール・ド・フランス偏重の現状を改善?

◯AIOCC(レース主催者協会)会長のCプリュドム氏(ツールディレクター)が関与

◯AIGCP(チーム協会)会長のRプルーゲ氏(ユンボマネージャー)が関与

◯Pルフェーブル氏(スーダルマネージャー)が関与

ユンボ・ヴィスマのマネージャーを務めるRプルーゲ氏は、この構想について以下の様なコメントを残しています。

「私たちはついに眠れる巨人を呼びさませます。この構想が実現すれば、サイクリングが持つ大きなビジネスチャンスを引き出すことが可能となります」

また、UCIの担当者であるPファンデンアベレ氏も以下の様に語っています。

「白紙状態からUCIとチーム関係者がイニシアチブをとってロードサイクリングの改革について多くの話し合いをしてきました。テレビ放映権、サイクリングプロダクトの改善、カレンダーの再配置などについてたくさんの会議を行いました」

2017年にVelon(ワールドチームが設立した合弁企業)が仕掛けた新しいレースシリーズの「ハンマーシリーズ」は道半ばで頓挫しました。その際、UCIとVelonの間には明確な対立構造が生じていました。

しかし時は経ち、今度はUCIとチーム関係者(Velon系)が中心となって新たなリーグ構想が練られています。

物事が動き出すためには一定の紆余曲折が必要なのかもしれませんが、今度こそ良い流れとなることを祈りつつ今後の展開に注目していきたいと思います。

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