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ツアー・オブ・ジャパン 2025 第8ステージ SPEEDチャンネル 東京ステージ<レースサマリー>

⽇時:2025年5⽉25⽇(日曜⽇)
天候:曇り21℃  
来場者数:33,000人
ステージアンバサダー:浅田顕
ホームステージチーム:RTA

シーキャッシュ X ボディラップのウォルシュとスコットが快速レースでワンツー
ファンチェルが総合優勝を遂げ 岡は逆転でポイント賞を獲得!

ツアー・オブ・ジャパン最終日となる8日目は、東京・大井埠頭を舞台とするSPEEDチャンネル 東京ステージ。昨年同様、1周6.5kmの周回コースを16周回する104kmが設定された。個人総合優勝争いは、JCL TEAM UKYOのファンチェルとラッカーニが首位と2位を占め、3位のダイボールまでは1分9秒の大差を築き上げている。しかし個人総合ポイント賞争いが、最終日までもつれ込んだ。
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この日の開始時点でポイント賞トップは前日のステージ優勝者ベンジャミ・プラデス・レヴェルテル(VC福岡)。2位にはファンチェルが2ポイント差で続くが、総合リーダーは昨日の時点でポイント賞争いに興味を示していない。実質的にポイント賞争いはプラデスから3ポイント差で3位につける岡篤志(宇都宮ブリッツェン)と5ポイント差の4位につけるマーク・スチュワート(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)の3人の間で勃発した。
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今大会唯一のプロチームとして第1ステージを勝ち取ったソリューションテックだが、新城幸也の凱旋レースとなったTOJでもうひとつ華を添えたい。スチュワートはポイント賞ジャージ獲得のため「中間スプリントポイントを狙っていく」ことを明言。真っ向勝負に打って出る。
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レースがスタートしてからアタックに次ぐアタックが繰り広げられるが、どの動きも決定的な差をつけるには至らない。スチュワートが言う通り、ソリューションテックが飛び出しを徹底的にチェックして集団に引き戻していく。その役割を担うのは新城だ。抜け出したい選手にとっては、最も追いかけられたくない存在。
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集団ひとつのまま、この日3度設定される最初の中間スプリントポイント(4周目完了時)にやってきた。ここを先頭で通過したのは岡。2番手にプラデスのチームメイトである本田晴飛(VC福岡)が入り、スチュワートは3位で通過。岡はプラデスとの差を1ポイント差に詰めるとともに、スチュワートとの差を拡大することに成功する。
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その後も集団は落ち着かない。度重なるアタックはいずれも決まらないまま周回を重ね、この日2度目の中間スプリントポイント(8周目完了時)へ。ここで先着したのは孫崎大樹(ヴィクトワール広島)だった。これはポイント狙いではなく、ボーナスタイムをスチュワートに獲得させないための走り。総合3位のベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)と総合4位のスチュワートのタイム差は13秒。スチュワートとしては総合で上位に来ているがゆえにポイント獲得を阻まれた格好だ。
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2位通過となったスチュワートだけでなく、3位通過となった岡にとっても、孫崎の存在は目の上のたんこぶ。中間スプリント争いに加わらないプラデスとのポイント差を詰めておきたいところに、強力なスプリンターが入ってきてしまったからだ。

そして3度目の中間スプリントポイント(13周目完了時)も孫崎が先着、2位にスチュワート、3位に岡という先ほどと全く同じ通過順となった。岡とスチュワートが3度の中間スプリントで獲得したポイントは7で同じ。ポイント賞の行方はフィニッシュのスプリントが決めることになった。
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この日最後の中間スプリントポイントを終えたところで集団はようやく逃げを容認。残り3周回でこの日最初の「ちゃんとした」逃げグループが形成された。メンバーは織田聖(マトリックスパワータグ)、山田拓海(シマノレーシング)、レオン・ピカー(チームブッファーズ・ジェスチョン・ド・パトリモワンヌ)、ディラン・ホプキンス(ルージャイインシュアランス)、アラステア・クリスティー・ジョンストン(シーキャッシュ X ボディラップ)。そしてこの逃げはこの日最後の逃げでもあった。
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5名のうち、エーススプリンターを擁するクリスティー・ジョンストンはローテーションに回らない。しかし4名で協調体制をとり、残り2周回で14秒まで集団とのタイム差を拡大する。

メイン集団は岡の最終スプリントに懸ける宇都宮ブリッツェンの他、岡本と窪木の2大スプリンターがいる愛三、そしてポイント賞リーダーのプラデスを擁するVC福岡が牽引し、残り1周で逃げを全て吸収。勝負は集団スプリントで争われることになった。
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長く道幅のある東京のフィニッシュストレート。窪木に発射された岡本が最初にスプリントを開始したが、その後ろから爆発的な加速を見せたリアム・ウォルシュが先頭に出てそのままフィニッシュに飛び込んだ。さらに後方から伸びたキャメロン・スコットが2位まで追い上げ、シーキャッシュ X ボディラップはワンツーフィニッシュを達成した。
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ポイント賞争いではプラデスがステージ6位、岡が7位となったが、中間でのポイント獲得と合わせて岡が最終日に個人総合ポイント賞のトップに逆転で輝いた。スチュワートはステージ16位だった。そしてメイン集団内で無事にフィニッシュしたファンチェルがツアー・オブ・ジャパン2025の総合優勝を決めた。JCL TEAM UKYOはチームとしてこれで大会4連覇。山岳賞ジャージに加え、チーム総合成績でもトップの活躍を見せた1週間となった。前日の落車による怪我で出場も危ぶまれた新人賞のマクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ)はこの日チームのための好走を見せつつ集団でフィニッシュ。最終の新人賞に輝いた。

この日のもう一人の勝者、岡は前日から体調不良を覚えていたという。
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「東京にはチームのサポーターが大勢いらしていて、なんとしても表彰台に乗りたいと考えていましたが、体調面でも不安があり、プレッシャーも感じていました。最後のスプリントでは愛三の窪木選手と岡本選手をマークしていましたが、最後の位置取りで風を受けて埋もれてしまいました。今日は3回の中間スプリントで全部もがいてしまったので、最後は脚が残っていませんでしたね。結果的には中間スプリントでもがいたからこそジャージを獲得できました。最後まで僅差での争いのレースになったので、これまでの積み重ねが報われ安心しました。今日が終われば休めると、最後の力を出し尽くしました」

ツアー・オブ・ジャパン、8日間のステージが終わった。それぞれの選手、それぞれのチームにそれぞれの戦いがあった。

「マトリックスとしてはいいTOJにできなかったので、この悔しさは次にぶつけたいと思います」

この日で唯一の逃げに乗りレースを展開した織田聖(マトリックスパワータグ)は、最終日の好走に満足せず次を見据えている。
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今大会の総合成績で最下位となったのは望月蓮(チームブッファーズ・ジェスチョン・ド・パトリモワンヌ)。序盤の落車で大きく遅れ、苦しいステージレースとなったが、最終日の今日、その表情は晴れやかだった。最後のスプリントに絡んで、ステージ11位という成績を残した。

「レースの半分あたりでは、 “まだ半分のあるのか……” と気が重くなっていたのですが、今日いざ東京に帰ってくると “もう終わっちゃうのか、寂しいな……” という気持ちになりました。個人的にはもっと逃げにチャレンジしたかったのですが落車もありそれができなかったのは悔しいです。総合最下位って、ジロ・デ・イタリアだと黒いジャージをもらえるやつですよね?(※) それはそれで悪くない気もします。でも、強くなってまたTOJにチャレンジしたいと思います」
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フランスを拠点に走る望月はまだ18歳。この8日間が彼に何をもたらしたかは、時間が教えてくれるはずだ。
※ジロ・デ・イタリアでは過去に総合最下位の選手に与えられるマリア・ネラという黒いリーダー(?)ジャージが存在した。

ステージ優勝 リアム・ウォルシュ(シーキャシュ X ボディウォッシュ)のコメント:
「今日は最終コーナーにいい形で入れて、そしてスプリントできる脚がありました。愛三が最後のコーナーで攻めてきて、ポジションを少し落としましたが、最後のストレートでは全力でスプリントしました。それまでチームメイトがサポートしてくれたおかげで、もがける脚を残せていたんです。今大会は第3ステージでキャメロンが3位に入りましたが私は落車し、第4ステージではスプリントのチャンスがありませんでした。今日は絶対に勝ちたいと思っていて、一丸となって成功を掴むことができたチームを誇りに思います」
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個⼈総合時間賞(グリーンジャージ)
アレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO)のコメント:

「さすがに疲れていますが、幸せな気分です。とてもいい8日間になりました。タイムを失わず、富士山でもうまく走ることができたと思います。特に印象に残るのは、勝利を飾ったいなべステージですが、その後のステージでもタイムロスなく走れ、いいレースが出来たと思います」
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個⼈総合ポイント賞(ブルージャージ) 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)のコメント:
「京都ステージで勝つことができひとつの目標はクリアできました。その後悔しい思いをするステージもありましたが、この最終日東京でポイント賞を確定できたことは嬉しいです」
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個⼈総合⼭岳賞(レッドジャージ)ニコロ・ガリッボ(JCL TEAM UKYO)のコメント:
「チームとしてのパフォーマンスが発揮できたレースになったと思います。疲れていますが、しっかりと癒やしてこの後はイタリア選手権を目標に走ります。チームでステージ1位と3位に入ったいなべステージは大会の中でもいい思い出です」
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新人賞(ホワイトジャージ)マクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ)のコメント:
「落車もありましたが、レースを終えて今はいい気分です。そして今回のレースもいい経験になりました。何か特定のよかったステージというのはありません。どのステージも全体的に良く走れて、良い結果を出せたと思っています」
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文:小俣雄風太

第8ステージ Speedチャンネル 東京ステージ順位
1位    リアム・ウォルシュ(シーキャッシュ X ボディラップ)2時間07分40秒
2位    キャメロン・スコット(シーキャッシュ X ボディラップ)+0秒
3位    アンドレア・ダマト(JCL TEAM UKYO)+0秒

個⼈総合時間賞(グリーンジャージ)
1位    アレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO)18時間39分57秒
2位    シモーネ・ラッカーニ(JCL TEAM UKYO)+21秒
3位    ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)+1分09秒

個⼈総合ポイント賞(ブルージャージ)
1位    岡 篤志(宇都宮ブリッツェン)68pt
2位    ベンジャミ・プラデス・レヴェルテル(VC福岡)65pt
3位    キャメロン・スコット(シーキャッシュ X ボディラップ)59pt 

個⼈総合⼭岳賞(レッドジャージ)
1位    ニコロ・ガリッボ(JCL TEAM UKYO)32pt
2位    テグシュバヤール・バッサイカン(ルージャイ・インシュアランス)30pt
3位    ナホム・ゼライ・アラヤ (JCL TEAM UKYO)20pt

個⼈総合新人賞(ホワイトジャージ)
1位    マクサンス・プラス(ワンティ・NIPPO・リユーズ)
2位    橋川 丈(愛三工業レーシングチーム)
3位    ウィル・ヒース(シーキャッシュ X ボディラップ)

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