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栗村修のワールドツアーへの道

KURIMURA's Blog

レースの存続

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北米最大規模のステージレース「ツアー・オブ・カリフォルニア(UCI-WT)」の2020年シーズンの開催中止が発表されました。

また、「ツアー・オブ・ターキー(UCI-WT)」についてもワールドツアーからの降格が発表されています。

「ツアー・オブ・ジャパン」の開催時期に近い4月or5月に開催されていたこの2レースが開催中止&ワールドツアーから降格となったことは、「ツアー・オブ・ジャパン」のチーム招聘面に於いては若干の追い風が吹くかもしれません(UCIワールドツアーのレースはUCIワールドチームに参加義務が生じるため)。

一方、中期的な視点でみると、特に「ツアー・オブ・カリフォルニア」の開催中止については、その原因について同じレース主催者として注意深くアンテナを張っていく必要があるように感じます。

同レースの主催者であるAEGの発表によると、今回の開催中止の決定に至る主な原因というのは、経済的な部分が大半を占めているようです。14年前の初回大会時に比べて、レースを開催するためのコストが年々増加しており、そのコストを収入面でカバーできなくなったのが大きく響いたとのこと。

また、アメリカ籍のUCIワールドチームである「EFエデュケーションファースト」のジョナサン・ヴォーターズGMは、今回の「ツアー・オブ・カリフォルニア」開催中止について、以下の様な趣旨のコメントを残しています。

◯2021年にTOCが帰ってくることを望んでいるがそれは決して簡単なことではない
◯アメリカのスポーツビジネスは成熟(独立)しており、例えば国や自治体などの公的資金により支えられることを期待することは難しい
◯現状、TOCは継続可能なビジネスモデルを持っていない
◯コスト面で考えると恐らくTOC(7日間開催)はツール・ド・フランス(3週間開催)と変わらない金額を必要としている(ツールは国家的なサポートを受けられるので主催者自身のコストを抑えられる)
◯同じエンデュランススポーツであるアイアンマンシリーズ(トライアスロン)は継続可能なビジネスモデルを持っている(参加料収入というベースがある)
◯アメフト、野球、バスケなどは、テレビで楽しむために創られたスポーツだが、自転車ロードレースは視聴者のことを考えた創りになっていない
◯欧州のグランツール(ジロ、ツール、ブエルタ)やモニュメント(世界五大クラシック)は今の形のままで良いと思うが、他のレースがこれら伝統のレースのマネをすることは違う気がする

印象的だったのは、「アメリカのスポーツは経済的に独立している必要がある(補助金などを受けられない)」という部分と、「ツアー・オブ・カリフォルニアとツール・ド・フランスの主催者コストは同レベル」という事実でした。

これらは中期的にみると日本のレース開催環境にもある程度当てはまってくる内容だと思います。

恐らく、日本のレース開催コストはアメリカよりも更に高いと思われ、たまに「日本で3週間のライン型ステージレースを開催してください!」というお言葉をいただきますが、欧州でレースするのとは別次元の経費と準備が必要となることが今回のカリフォルニアの件でわかると思います。

やはりその国に合った自転車ロードレースのビジネスモデルというものを創っていく必要があるということなのでしょう。

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