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栗村修のワールドツアーへの道

KURIMURA's Blog

国内UCIレースのビジネスモデル

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私が、長年関わってきたチーム側の仕事から、「ツアー・オブ・ジャパン」のレース開催業務へと転職した理由はいたってシンプルでした。

・いくらチームや選手だけががんばっても限界がある
・抜本的な改革を行わないと国内の主要レースのいくつかが近い未来に消滅する
・レースが無くなればチームは必ず負の影響を受ける
・レースの仕組み自体が経済的にプロとしてまわっていなければ本質的にはプロチーム(プロ選手)は存在できない
・競技としての本質的な発展は自転車自体がこの国に於いて文化的な成長を果たさなければあり得ない

もちろん、国内のチーム関係者の多くがそう考えているように、「日本に良いレースが無ければ海外へ行けば良い」と発想も理解はできます。

しかし、私はこの考え方に対してどこかで違和感を覚えていて、「イナゴの大群的発想だなあ」とずっと感じてきました。

日本人が生まれるのは当たり前ですが日本であり、日本人選手が最初に走るレースも普通は日本国内のレースです。

また、野球やサッカーのように、現在、世界に通用する選手(即戦力として)を数多く排出しているスポーツというのは、まず、国内にプロリーグを含めた優れたシステムを持っています。

サッカーの「Jリーグ」が、「イングランドのプレミアリーグ」や「スペインのリーガ・エスパニョーラ」よりもレベルが低いからといって、「Jリーグを無くしてしまえ」といった乱暴な意見を聞いたことはありません。

もし、野球やサッカーから国内のシステムを奪い取り、「メジャーリーガーになりたければ若いうちからアメリカへ」、「プロサッカー選手になりたければ若いうちから南米か欧州へ」という様にすべてを切り替えたとしたなら、果たして現在の様に海外でプロとして契約できる選手が何人いるのかは正直疑問です。

ですから、どんな形であれ、日本国内に優れたシステムが存在していなければ、根本的なところでの「本気で世界を目指す」という取り組みからは乖離してしまっているように感じるのです。

それでは、「ツアー・オブ・ジャパン」の大会運営が、その本質的なシステム創りにどう関係しているのか?という部分についてですが…

まず、現在、日本国内には自転車ロードレースが数多く存在はしています。

しかし、それらが一つの理念の下でピラミッドを形成しているかというとまったくそんなことはなく、場合によってはレース主催者同士が負の関係に陥ってしまっているケースすらあります。

また、レースを開催するための財政的な部分についてですが、ビジネスとして独り立ちできているレースというのはそれほど多くなく、規模の大きなレースほど、常にレースが消滅するリスクに直面しているといっても過言ではありません。

ですから、まずは国内最大規模の「ツアー・オブ・ジャパン」を正しい軌道に乗せ、現代に合った運営形態へと変更し、その上で「日本国内に於ける継続可能なレース運営」というビジネスモデルの構築及び提示をしながら、横の繋がりを徐々に強化しつつ、国内レースの正しいピラミッドを構築する必要があります。

いま、「ツアー・オブ・ジャパン」が目指しているものというのは、レース開催地にメリットをもたらす基本構造を構築することです。

「ツアー・オブ・ジャパン」を開催することで開催地のメリットが最大化すれば、レースを開催する意味が明確になり、レースの継続がある程度担保されてきます。

また、レース自体が社会に必要とされ、その中で正常な経済活動が生まれれば、そこに出場している「チーム」や「選手」にも正常なバリューが生まれるのは間違いありません。

2015年大会より「ツアー・オブ・ジャパン」に新規参入した「いなべステージ」は、大会事務局が目指す理想的な形を体現している重要なステージです。

レースを開催することをきっかけに、そこで得たバリューを地域の発展に積極的に転換する取り組みを進めているからです。


物事を本質的に動かすには一定の時間が必要となります。

正しいと思うこと、必要だと思うことを粘り強く継続させることが、未来を創っていく上で重要であることは言うまでもありません。

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